Profile of The Genus Inocybe in Hyogo

Profile of Candycap

本名: 大西 誠司
三重県熊野市生まれ
兵庫県神戸市北区 在住
丹生山系のきのこに魅せられ、1995年の震災後に垂水区内より移住。
外資系の会社にてソフトウェアの開発エンジニア。
趣味は、キノコのほかには卓球、サッカー、ダイビングを少々。

キノコとの出会い

小さい頃から野山や川が遊び場だった。大人になっても、カヌー、スキー、キャンプ、ダイビング、釣りなど、アウトドアでばかり遊んでいた。ある日、キャンプ場で沢山のキノコが発生しているのに気がついた。当然、種類も名前もさっぱり分からない。きっかけは、もしこれが分かるようになったら楽しいだろうな~だった。山溪フィールドブックス「きのこ」を手に、一人で神戸の山に入り始めたのが16年ほど前。その後、特にきのこの会に入る事もなく独学で、ありふれた食菌や毒キノコなら同定ができるように徐々になっていった。それとともに図鑑の数も増えていったが、それでもどれにも載っていないキノコがあまりにも多い事にも気が付き始めていた。

ちょうどそのころ、仕事でアメリカの北カリフォルニアの事業所へ出向が決まった。当初は2年の予定だったが、3年半近くを過ごすこととなった。流石にまたキノコを独学でやるのは危険だと思ったので、現地のキノコの会を見つけて入会した。

ここでのきのこ体験は今でも素敵な思い出となっている。特に、素晴らしい食菌が多かったし、キノコで色んな楽しみ方をしている人たちにも出会えた。特にキノコ染めの美しさには驚いた。

King/Queen Boletus, Chanterele, Morel, 白マツタケなどの食菌が良く採れたが、特に、テングタケ属に優秀な食菌が多かった。Coccoli と呼ばれ巨大になるAmanita laneiや Spring Amanitaと呼ばれるAmanita velosa などだ。特に、A. velosa (vilosaじゃないよ!念のため・・・)は、これまで食べたどんなキノコよりも旨味が強くて抜群に美味しかった。でも、万が一間違えたら命を落とす危険があるという究極の選択でもあったが・・・

Candycapとは?

北米の西海岸にはCandy Capと呼ばれるキノコが発生する。学名はLactarius rubidus。名前の由来は、飴ちゃん(関西では飴になぜか”ちゃん”をつけるのだ)のような赤茶色でてかりのある傘をしているという見かけからだけではない。なんと、甘ーい匂いも持っているのだ。これを乾燥させると匂いはさらに強烈になる。ニオイワチチタケはカレー様の匂いと言われるが、それをさらに甘~く上品にした感じだ。この乾燥Candycapを細かく刻んでクッキーやパンに練りこんで焼き上げると、信じられないほど素晴らしい甘ーい香りに変身する。まるで、メープルシロップをたっぷり練りこんであるかのような香りがするのだ。すっかりこれの虜になってしまった私は、北カリフォルニア滞在期間中、季節になるとしょっちゅう妻とマッシュルーム・ハンティングに出かけたものだった。それ以来、ハンドルネームはCandycapを使っている。

ちなみに、Lactarius rubidusの一番近縁の日本産種はニセヒメチチタケ(Lactarius camphoratus)と思われる。日本ではこの種は食毒不明として扱われているが、欧米の同種は可食として知られている。ただし、欧米のL. camphoratusと、ニセヒメチチタケは微妙に違うような気がするので、安易に食べるのは危険。でも、六甲山系にも、春に発生するので、綺麗な個体が採れたらそのうち試食してみようと思っている。

なぜアセタケなの?

とよく聞かれる。最初のきっかけは、初めて色々と文献や論文などを調べ、顕微鏡で検鏡もしてやっと突き止めたのがInocybe leptoclada (モモエノトマヤタケ)という図鑑にはまだ載っていないアセタケだったことだ。これに加えて、勤務先の敷地内に色々とキノコが発生するのだけれど、キコガサタケ、ハラタケ、コムラサキシメジなどは名前がつくが、どうしても名前がつかないアセタケがあった。少しずつアセタケ関連の資料や文献を揃え、アシナガトマヤタケやコブアセタケなどは同定できたが、どうしても分からない種が残った。こうして悩みながら3年を過ごすうちに、徐々にアセタケの面白さにはまっていったように思う。結局、この同定できなかった種は、Inocybe sericella (セイタカトマヤタケ)として小林孝人先生と新種として2010年2月に発表させていただいた。

現在所属している会

日本菌学会
菌類懇話会
幼菌の会